お知らせ・コラム
【社長ブログ Vol.14】 「廃棄物管理」から「資源管理」へ
日本のリサイクル制度は転換期にある
私は、リサイクル業界に20年近く携わってきました。
その中で、技術は大きく進歩しました。
AIによる選別、自動光学選別、高精度洗浄、複合材料分離、高性能押出、品質トレーサビリティ。
かつては焼却や埋立しか選択肢がなかった材料でも、
現在ではマテリアルリサイクルが可能になっています。
しかし、制度はどうでしょうか。
率直に言えば、技術の進歩に制度が追いついていないと感じています。
日本の廃掃法は、「廃棄物を適正に管理する法律」として世界的にも優れた制度です。
不法投棄を防ぎ、公衆衛生を守り、日本の環境保全に大きく貢献してきました。
しかし、この法律が制定された1970年と現在では、リサイクル技術も産業構造も大きく変わりました。
現在でも制度の出発点は「廃棄物」です。
つまり、「どう処理するか」を管理する思想が中心です。
一方、私たちリサイクル事業者が向き合っているのは、
「どう資源として循環させるか」という課題です。
ここに制度と現場のギャップがあります。
現在の資源循環では、多くの場合、
排出事業者
↓
収集運搬
↓
中間処理
↓
リサイクル事業者
↓
再生材メーカー
↓
製造業
という流れになります。
この流れ自体は否定しません。
しかし経済性を見ると、ひとつの矛盾が見えてきます。
高度な選別や分離を行い、新たな資源価値を創出するリサイクル事業者よりも、
「適正処理」の役割を担う工程の方が、制度上は収益を確保しやすい場面があるのです。
つまり、最も高い技術投資と品質保証を担う工程が、市場では十分に評価されない構造が存在します。
本来、循環経済が評価すべきなのは、「何トン処理したか」ではなく、
「何トン資源として社会へ戻したか」ではないでしょうか。
私は、「処理量」ではなく「資源化率」や「再生材品質」を
制度や市場がもっと評価する時代になるべきだと考えています。
EUでは、End-of-Waste(廃棄物卒業)の考え方が制度の中に組み込まれています。
一定の品質基準や用途、安全性を満たした再生材は、
「廃棄物」ではなく「製品」として扱われます。
この発想は、資源循環を加速させる上で非常に重要です。
日本でも個別制度はありますが、依然として「廃棄物」の枠組みが強く、
循環資源として市場を形成する視点は十分とは言えません。
これから必要なのは、「廃棄物管理」の高度化だけではありません。
資源管理への転換です。
誰がどれだけ処理したかではなく、
誰がどれだけ高品質な資源を社会へ供給したか。
そこに価値が生まれる制度設計へ変わることが、
日本の資源循環産業を次のステージへ押し上げると私は考えています。
アイレックスがLayerX™やReMaterial™、Factory DX™で目指しているのも、その未来です。
私たちは、廃棄物を処理する会社ではありません。
資源を設計し、資源を創り、資源を産業へ戻す会社です。
日本のリサイクル産業が世界をリードするためには、
技術だけではなく、制度もまた「処理」から「資源循環」へ
進化していくことを期待しています。