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「奄美・沖縄」世界遺産へ

・IUCNにより、世界自然遺産への登録が発表

5月10日に環境省が「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」について、世界遺産委員会の諮問機関である国際自然保護連合(IUCN)が世界自然遺産への登録を勧告したと環境省が発表しました。

7月に開かれる同委員会で正式決定される見通しとなっており、国内で登録されている世界自然遺産は屋久島(鹿児島)、白神山地(青森・秋田)、知床(北海道)、小笠原諸島(東京)の4件あり、登録されれば5件目となります。

イリオモテヤマネコやアマミノクロウサギ、ヤンバルクイナなど、数多くの固有種が生息しており、IUCNは「国際的にも希少な固有種に代表される生物保全上重要な地域である」と高く評価しています。

日本の絶滅危惧種(レッドリスト)をみても、コケ類や藻類を除く植物(維管束植物)の55%、陸生哺乳類の38%、両生類の60%などが4島に生息します。生物多様性や生態系の豊かさと希少性において日本の重要な地域となっている。奄美大島については「東洋のガラパゴス」とも称され、豊かな自然が評価されています。

日本政府は当初、2018年夏の世界自然遺産登録を目指し、17年2月にユネスコに推薦を行なっていましたが、IUCNは18年5月、希少な動植物を保護するための対象区域を包括的に指定できていないなどとして、登録延期を勧告。今回、再度推薦を行い、登録されることが決定しました。

・豊かな自然の維持方法が今後の課題

学術的な価値だけでなく、豊かな自然は貴重な観光資源となっていますが、登録を機に観光客が増加することも予想され、環境破壊につながらない受け入れ態勢が課題の一つになると考えられます。

観光局の増大により、経済効果として宿泊や飲食店への経済的メリットもある一方で、移動する際に使用されるレンタカーやガイドに使用される車の増加によって、野生生物の生息地に影響を与えることも懸念されています。

とくに、夜行性の生き物も多く生息しており、野生生物と自動車の交通事故も多く発生しているため、それらの生態系の維持に早急に対策が必要な状況です。

奄美郡島では世界遺産登録決定前から様々な取り組みを行なっており、今後も継続的に取り組みを行なっていくことが期待されます。

その中でも特に力を入れて行なっている試みは、奄美群島内での「エコツアーガイド」であり、2020年には5島24人が新規に認定を受け、累計133人のガイドが登録されています。奄美大島に直近2年以上居住している住民であり、奄美大島で1年以上のガイド実務実績を持つガイドがエコツアーガイド連絡協議会に登録しており、エコツーリズムをとおして、質の高い体験活動を提供しています。

各地域での「自然と共生した持続可能な社会づくり」を目指すため、この取り組みにより動植物の保護や、動植物への影響の軽減、外来種への対応、自然及び文化的警官の保全・修復など幅広い課題への対応を行なっています。

今後は、観光客の増加に応じてエコツアーガイドの増員や環境保護に対するルールづくりなどが求められていくと考えられ、日本や世界で登録されている世界自然遺産の例を参考に、自然維持の方法について様々な計画が予定されています。

また、環境を守っていくための継続的な活動として、観光客のプラスチックゴミが豊かな自然を破壊しない様、リサイクルできる容器の促進や、資源をリサイクルする仕組みを進めていく試みを進めていくべきではないでしょうか。

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