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脱炭素社会の実現へ

脱炭素社会の実現や温室効果ガスの削減といったワードを耳にする機会が増えてきたと感じませんか。脱炭素化は世界的に取り組むべき課題であり、直近ではエネルギーや環境をテーマにした国際会議「東京GXウィーク」が開催されています。

温室効果ガスを減らす具体策として帆船の活用に熱視線が注がれています。また、東京証券取引所では二酸化炭素の排出権取引に関する実証実験が開始されました。

今回は脱炭素社会実現に向けた取り組みの最新状況について解説します。本記事を読めば、エネルギー問題や脱炭素社会に関する国内外の動きやトレンドを把握できるようになるでしょう。

エネルギーや環境テーマの国際会議始まる

脱炭素社会の実現に向けた国際的な連携強化を目的に、2022年9月26日〜10月7日にかけて「東京GXウィーク」と呼ばれる国際会議が開催されています。テーマは脱炭素への移行と経済活動の両立をどのように図るかという点です。

温暖化対策について示した地球温暖化対策推進法という法律では脱炭素化の促進に触れられており、脱炭素社会の実現は国が一丸となって取り組むべき課題です。

脱炭素化には再生可能エネルギーの活用が必要ですが、化石燃料関連プロジェクトからの撤退が急速に進むと、かえって社会的・経済的コストの増大を引き起こす危険があります。

今般の会議では国際的な金融機関グループから、環境への配慮を意識しつつも石炭火力への融資を継続するためのガイドラインが示されています。

ガイドラインでは火力発電所への融資時に精査すべき事項として、周辺環境へ悪影響を及ぼしていないか、二酸化炭素削減計画や国際機関が認証する技術に基づいているかなどが挙げられました。

今どうして帆船なの?

脱炭素の機運が高まる海運業界において、新素材を活用した帆船が注目されています。帆を活用した船に関しては、二度の石油危機で原油価格が高騰した40年以上前にも開発が進められたことがありましたが、コスト面の課題からあえなく頓挫してしまいました。

時は進み2009年、温室効果ガス削減の活発化を背景に、帆を活用した大型造船開発の産学連携プロジェクトが動き出します。「風がエンジンにかなうはずがない」という否定的な意見を跳ねのけ、2022年9月現在では実用化レベルに達するほど開発が進みました。

帆といっても、柱の間に布を張った従来の帆船とは異なり、風を受けてもまったく変化を受けないものです。

これは硬翼帆(こうよくほ)と呼ばれ、風の強さに応じて形状が変化するタイプと比較して、風の取りこぼしが少ないのが特徴です。ロープを用いて帆を張る作業の必要がなく、手間がかからない点もメリットです。

ディーゼルエンジンに加えて風による推進力を活用し、燃費の向上や温室効果ガスの削減につなげるのが狙いです。

硬翼帆は風向きに合わせて自動回転したり、風がないときや向かい風の場合は帆を縮小できたりと、風力を有効活用するための工夫が随所に施されています。

最新テクノロジーを詰め込んだ今般の帆船は、素材にもこだわっています。採用されたのはガラス繊維の布を圧縮した後に樹脂でコーティングしたFRP(繊維強化プラスチック)です。

軽さと丈夫さが特徴で、強度に加えて重すぎないため帆の素材としてフィットしたのです。今後技術がさらに発展し脱炭素化が進展すれば、帆船が海を走る光景が当たり前になるかもしれません。

二酸化炭素の「排出量取引」

2022年9月、二酸化炭素の排出量を売買の対象とする「排出権取引」の実証実験が東京証券取引所で開始されました。排出権取引とは各国家や企業が二酸化炭素の排出枠を決め、排出枠を超えてしまった国や企業と、排出枠が余った国や企業間で行う取引のことです。

再生可能エネルギーの導入によって二酸化炭素の排出量削減に成功した企業は、排出枠の残余分を株式や債権のように市場を通じて取引します。

今回の実証実験は午前9時〜午後3時まで取引が行われ、午後4時には取引価格の終値が公表されるというものでした。9月22日の終値は再生可能エネルギー関連が3,300円/1t、省エネ(ex.LED照明の設置)に関するものが1,600円/1tでした。

今回の実証実験に参加した企業は、取引の対象となる排出権がどのように削減されたものか確認できます。株主や投資家に対して排出量削減へ積極的に取り組んでいるアピールにもなるでしょう。また、価格という客観的な指標が提示されるので、投資意欲の拡大につながると期待されています。

実証実験は来年の1月まで実施されます。企業間でどの程度取引が活発化するかチェックし、来年度以降の本格的な運用開始を目指すようです。

排出権取引は売り手と買い手、双方にとってメリットが大きい仕組みです。売り手は排出権の取引で獲得した利益をさらなる環境投資に活用できますし、買い手は自ら削減できなかった分を取引によって補えます。

今までも自治体同士や企業間レベルで排出権取引の事例はありましたが、取引価格の分かりにくさや、取引相手を見つける困難さを理由に活発化には至りませんでした。

環境問題ではエネルギー関連以外にも、廃棄物処理やリサイクルに関わる課題にも目を向ける必要があります。アイレックスは単なるリサイクル原料の生産だけでなく、製品製造や現状では使い道がない廃棄物の他用途への活用に関する取り組みなども行っています。ご興味をお持ちでしたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

脱炭素先行地域として事業に取り組む自治体を紹介した「「脱炭素先行地域」で地域活性化」でご確認ください。

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