お知らせ・コラム

コラム

回収したプラスチックはどこへ行く?

環境問題への関心が高まり、ペットボトルや食品用容器をいつも資源ごみ回収に出しているという方は増えています。「一生懸命分別して回収に出しているけれど、プラスチックはどこでどのように処理をされるのだろうか?」と、気になったことはありませんか?そこで、回収されたプラスチックの行方について解説します。

回収されたプラスチックの行方

日本では、廃プラスチックの有効利用率が上昇傾向にあり、プラスチック循環利用協会による2018年の調査では84%になっています。(※1)これは世界的に見てもかなり高い数値です。リサイクルされる84%の内訳は次の通りです。

・マテリアルリサイクル(再利用)27.7%

・ケミカルリサイクル(化学原料として利用)5.2%

・サーマルリサイクル(燃料として利用)66.9%

リサイクルと聞いて多くの方が一般的にイメージするのは、プラスチック製品として再利用する「マテリアルリサイクル」です。しかしながら、日本ではマテリアルリサイクルは3割弱と低い数値になっており、廃プラスチックを焼却処理する際に出る熱を利用する「サーマルリサイクル」が大半を占めています。つまり、回収されたプラスチックのうち7割程度は発電や周辺施設の暖房・温水の共有に使われているのです。

世界の廃プラスチックの処理方法

日本では廃プラスチックのリサイクル率が84%と高い水準ですが、世界ではどの程度が再利用されているのでしょうか?2015年のデータでは、世界の廃プラスチックのなかでリサイクルされているのはたったの9%となっています。廃プラスチックの大半である79%が埋め立てなどの処理がされているのです。(※2)

とくに問題になっているのが、人口の多いアジア諸国で廃プラスチックが適切に処理されていないことです。2017年までは先進国も中国や東南アジアの国々への輸出にプラスチックの処理を頼っていたという事情もあり、見直しに迫られています。

今後の課題

日本における廃プラスチック処理の課題は、マテリアルリサイクルの割合を高めることです。サーマルリサイクルも発電などに使えるメリットがありますが、同じ目的で何度も使用している訳ではないため、ヨーロッパなどではリサイクルとしてカウントしません。2017年までは日本も廃プラスチックの多くを輸出していましたが、今後は国内でプラスチックを再生される必要があります。

※1出典:一般社団法人プラスチック循環利用協会「プラスチック基礎知識2020」https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf1.pdf

※2出典:国連環境計画「Single-use plastics: A roadmap for sustainability」https://www.unep.org/resources/report/single-use-plastics-roadmap-sustainability

廃プラスチック処理の課題について、「プラスチックリサイクルの必要性」に詳しく紹介しております。

一覧へ戻る >