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コラム

廃プラスチックのリサイクル方法と再利用の流れ

廃プラスチックとは何か

廃プラスチックの定義と種類

廃プラスチックとは、使用済みや不要になったプラスチック製品や材料の総称です。一般的に廃棄物として扱われますが、適切にリサイクルすることで新たな資源として再利用することが可能です。

プラスチックにはさまざまな種類があり、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)など、それぞれ特性や用途が異なります。

主な廃プラスチックの種類

  1. 家庭系廃プラスチック:家庭から出るプラスチックごみ。ペットボトル、食品トレー、ビニール袋など
  2. 事業系廃プラスチック:企業や工場から出るプラスチック廃棄物。製造過程で出るプラスチックくずや包装材など
  3. 容器包装プラスチック:商品の包装や容器として使用されるプラスチック
  4. 産業廃棄物プラスチック:建築資材や自動車部品など、大型で特殊なプラスチック製品

 

 

廃プラスチックがもたらす環境問題

廃プラスチックによる環境問題は、地球規模の課題です。適切なリサイクルと再利用を促進することで、環境負荷の軽減と資源の有効活用が可能であり、企業や個人が一体となって取り組むことが求められています。

 

1. 海洋汚染

廃プラスチックが河川や海洋に流出すると、海洋生物が餌と勘違いして摂取し、健康被害を受ける可能性があります。特に、プラスチックが微細化したマイクロプラスチックが広がると、生態系全体に悪影響を及ぼすとして懸念されている問題です。
国連環境計画(UNEP)によると、毎年1900万トンから2300万トンのプラスチックごみが海に流入していると報告されています。(参照 国際連合広報センター)

 

2. 焼却による大気汚染

廃プラスチックを焼却処理する際、不完全燃焼が起こると有害なダイオキシン類が発生します。ダイオキシン類は大気を汚染し、人間の健康にも悪影響を与えることが知られています。

 

3. 埋立地の逼迫

プラスチックは自然分解しにくいため、埋立地に大量に廃棄されると、土地の有効活用が進みません。限られた埋立地の容量を圧迫し、最終的には新たな埋立地の確保が必要になります。

 

4. 資源の枯渇

プラスチックの主原料は石油であり、有限な資源です。使い捨てのプラスチック製品が増えることで、資源の枯渇が懸念されます。

 

 

廃プラスチックのリサイクル方法とプロセス

廃プラスチックのリサイクル方法は、主にマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルの3つに分類されます。

 

1.マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルは、廃プラスチックを溶かして再び材料として再利用する方法です。環境への負荷が比較的少なく、リサイクル効率も高いとされています。この方法は、廃プラスチックを新たな製品の原料として活用できるため、資源の有効活用につながるのです。

対象となるプラスチック製品

  • ペットボトル
  • プラスチック容器
  • 工業用プラスチックくず

マテリアルリサイクルのプロセス

  1. 収集・分別:廃プラスチックを種類ごとに集め、素材別に分別
  2. 洗浄:汚れや異物を取り除くために洗浄
  3. 粉砕・溶融:細かく粉砕し、加熱して溶かす
  4. 成形:溶かしたプラスチックを押し出し機や射出成形機で新たな製品の形に成形する

 

 

2.ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルは、廃プラスチックを化学的に分解し、元のモノマーや油分に戻す方法です。化学反応を利用するため、複雑な構造のプラスチックや汚染されたプラスチックもリサイクルできます。

対象となるプラスチック製品

  • 混合プラスチック
  • 油分などで汚染されたプラスチック
  • 強化プラスチックや複合材料

ケミカルリサイクルのプロセス

  1. 収集・前処理:廃プラスチックを集め、異物を取り除く
  2. 熱分解・ガス化:高温で加熱し、プラスチックをモノマーやガスに分解する
  3. 精製:モノマーやガスから不純物を取り除く
  4. 再合成:精製したモノマーをポリマー化し、新たなプラスチック原料を生成する

 

 

3.サーマルリサイクル

サーマルリサイクルは、廃プラスチックを燃料として利用し、熱エネルギーを回収する方法です。主に焼却施設で行われ、発電や暖房などに活用されます。リサイクルが難しいプラスチックでもエネルギー源として有効活用できる点が特徴です。これらのリサイクル方法にはそれぞれ特徴があり、対象となるプラスチック製品やプロセスも異なります。

対象となるプラスチック製品

  • 混合素材や汚染が激しいプラスチック
  • 使用済みの包装材やフィルム
  • 他のリサイクル方法では処理しきれない廃プラスチック

サーマルリサイクルのプロセス

  1. 収集:廃プラスチックを集める
  2. 燃焼:専用の焼却炉で高温燃焼させる
  3. エネルギー回収:回収した熱エネルギーを利用して蒸気を生成し、発電や暖房に活用する
  4. 排ガス処理:環境への影響を最小限に抑えるため、有害物質を除去する

 

 

企業経営における廃プラスチックリサイクルの重要性

SDGsと循環型社会への貢献

廃プラスチックのリサイクルは、企業が国連の掲げるSDGs(持続可能な開発目標)に貢献するための重要な手段です。リサイクルを通じて企業は循環型社会の実現に貢献でき、地球環境の保全だけでなく次世代への責任ある行動として評価されます。

関係するSDGs項目

  • 目標12:つくる責任つかう責任
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を

(参照 SDGs17の目標)

 

コスト削減と企業ブランド価値の向上

廃プラスチックのリサイクルは、経済的なメリットももたらします。リサイクルを通じて、資源の再利用が可能となり、原材料の購入コストを削減できるのに加えて廃棄物処理にかかる費用も軽減され、全体的な経営コストの最適化を図ることができるのです。

さらに、環境への配慮は企業ブランドの価値向上につながります。消費者の環境意識が高まる中、エコフレンドリーな企業は市場での競争力を高めることができるでしょう。

  • 資源コストの削減:再生プラスチックの活用により、新規原料の調達コストを抑制
  • 廃棄コストの低減:廃棄物量の減少により、処理費用を削減
  • 法規制への対応:環境関連の法規制強化に伴うリスクを軽減

 

 

廃プラスチックリサイクルの未来と企業の役割

廃プラスチックのリサイクルは、環境保全と経済発展を両立させる鍵となります。技術の進歩により、リサイクル方法も多様化し、より効率的な資源循環が可能です。

積極的なリサイクルへの取り組みは、社会的責任を果たすだけでなく、新たなビジネスチャンスの創出にもつながります。今後も企業や個人がリサイクル活動を推進し、持続可能な社会の実現に貢献していくことが求められるでしょう。

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