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コラム

プラスチックごみ問題の現状と課題

プラスチックごみの増加と環境への影響

世界的なプラスチックごみの増加傾向

プラスチックごみの量は世界的に増加しており、深刻な状況にあります。

この増加の主な要因は、プラスチックの利便性から世界的に生産量と使用量が拡大していることにあります。

世界のプラスチック生産量は1950年以降飛躍的に増加し、毎年約4億3000万トン生産されています。その約3分の2以上が使い捨て製品で、すぐにごみになってしまうのです。

2020年時点で、約2億3800万トンのプラスチックがごみとなり、そのうち約1億700万トンが環境中(陸地や海など)に流出しました。

プラスチックは分解されにくいため、適切に処理されないと環境中に長期間残存し、海洋汚染などの深刻な問題を引き起こしています。

また、プラスチックごみの発生量は今後も増加が見込まれ、2040年には年間4億トンを超えると予測されています。

このため、世界各国でプラスチックごみ削減に向けた様々な取り組みが進められています。

プラスチックごみ問題のリサイクル課題

プラスチックの効率的なリサイクル難易度

プラスチックの効率的なリサイクルが難しい理由の一つに、まず分別の難しさがあげられます。プラスチックには多種多様な種類があり、リサイクルの際に素材ごとに分別する必要がありますが、一般消費者によるプラスチックごみの混合排出が多く、分別が困難です。

また、リサイクル工程で不純物が混入しやすく、品質の劣化が起こりやすいこともあります。製品の用途によっては高い品質が求められ、リサイクル原料では不十分な場合があるのです。

他にも、リサイクル工程におけるコスト面での課題や回収率の低さ、技術的な制約などが、効率的なリサイクルを阻む要因となっています。

プラスチックごみの処分問題

未処理のプラスチックが引き起こす問題

未処理のプラスチックが引き起こす問題は多岐にわたり、環境、生態系、人間の健康などに重大な影響を及ぼします。

たとえば、大きなプラスチックごみが分解されて微小なプラスチック片(マイクロプラスチック)となり、広範囲に拡散します。これらは食物連鎖を通じて生物体内に蓄積されます。海に流れ込んだ海洋プラスチックごみの一部は、海流に乗って遠く離れた場所まで運ばれ、広範囲に影響を及ぼします。

マイクロプラスチックはプランクトンから魚類、最終的には人間に至るまで食物連鎖を通じて取り込まれ、健康リスクを引き起こす可能性もあるのです。

これらの問題に対処するためには、リサイクルの推進、使い捨てプラスチックの削減、適切な廃棄物管理が不可欠です。

国際協力と規制の必要性

プラスチックごみは海流に乗って国境を越え、全世界の海洋に拡散します。一国の努力だけでは解決できないため、各国が協力して対策を講じることが必要です。

各国が持つリサイクル技術や廃棄物管理のノウハウを共有し、最善の方法を取り入れることで、効率的なプラスチックごみ処理が可能になります。

特に発展途上国では、適切な廃棄物管理インフラが不足しています。国際的な支援を通じて、これらの国々に技術的および経済的援助を行うことが重要です。

また、使い捨てプラスチック製品の使用を削減するための規制(例えば、プラスチック袋の禁止や課税)は、プラスチックごみの発生を減少させる効果があります。

このように、プラスチックごみ問題の解決には、国際社会が連携して規制を設け、発生抑制とリサイクル促進に取り組むことが不可欠です。各国の協調と具体的な行動が求められています。

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