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プラスチックリサイクル率ランキング | 日本と世界を比較するとどうなる?
プラスチックは、私たちの生活で買う・使う・捨てる・また新たに買う、という繰り返しの中でごみとして捨てられてきました。
しかし、捨てられた廃プラスチックは海や土壌などを汚染し、生態系に悪影響を及ぼしています。
ここでは、プラスチックを含めたごみのリサイクル率をヨーロッパと日本で比較し、日本の問題点を解説します。
リサイクル率とは
リサイクル率とは、家庭などから出る一般ごみ(一般廃棄物)や製品の製造過程などから出る産業ごみ(産業廃棄物)を、種類毎の全体量からリサイクルした量の割合を示します。
リサイクルとは再資源化を意味し、ごみを元の資源に戻し、有効利用する取り組みを指します。
リサイクル率が高いほど、再資源化が進んでいるのです。
世界の資源別リサイクル率
プラスチック(2020年度)、紙(2018年度)、缶・ペットボトル(2021年度)における世界(EU諸国)と日本の資源別リサイクル率は次のとおりです。
プラスチック | 紙 | 缶 | ペットボトル | (ごみ全体) | |
EU加盟国 | 約30% | 約75% | 約75% | 約42% | 約49% |
日本 | 25.9% | 81.5% | 96.6% | 86.0% | 19.9% |
資源別でリサイクル率を見ると、ばらつきがあるものの、ごみ全体では約49%のリサイクル率と高めに推移しています。
一方、日本の資源別のリサイクル率を見ると、紙や缶、ペットボトルはEU加盟国より高いですが、プラスチックや生ごみを含むごみ全体では低いことが分かります。
なぜヨーロッパのリサイクル率は高いのか
ヨーロッパのリサイクル率は、日本と比較すると高い傾向にあります。
では、なぜヨーロッパのリサイクル率が高いのでしょうか。
ごみを分別する文化
市民にごみを分別する文化が根付いているため、リサイクルへの意識が他国よりも高いのが理由のひとつです。
一般家庭や企業がごみの分別を積極的に行うなど、リサイクルの仕組みを強化、徹底していることがリサイクル率を上げる要因です。
環境教育の充実
幼少期からの環境教育の充実もリサイクル率向上につながっています。
ごみの分別や再利用をはじめ、自然やサステナブルについて自分たちを取り巻く環境に対する意識を高めていく教育が盛り込まれています。
キャッシュバック制度
ペットボトルをリサイクルすれば、返金されるキャッシュバック制度もリサイクル推進につながっています。
なお、リサイクルしやすいよう回収ボックスをスーパーマーケットに設置し利便性を高めるなど、環境を整備し、リサイクル率をアップしています。
日本のリサイクル率が低い理由
世界と比べて、日本のリサイクル率が低い理由には次のような要因が考えられます。
採算のとれないリサイクル事業
採算の取れないリサイクル事業が大きな理由の1つです。
廃プラスチックリサイクルの場合、分別や異物除去などの工程が必要になり、リサイクルシステムが複雑または工数の増加でコスト高になり、採算が合わないことがあります。
焼却処理が主流
ごみの焼却処理の割合がヨーロッパに比べ、日本が圧倒的に高いことが理由にあげられます。
ごみ焼却率は、ヨーロッパ全体でみると25%ですが、日本では約80%と高く、生ごみのコンポスト率が低いことが原因です。
リサイクル率の算出方法の違い
リサイクル率が低い理由として、リサイクル率の算出方法が日本とヨーロッパでは異なるのが原因です。
ヨーロッパでは、ゴミ処理施設に搬入されるごみの量をリサイクル量として計算しています。しかし、日本では再資源化されるごみだけをリサイクル量として算出しているため、ヨーロッパよりリサイクル率が低く見えます。
一人当たりのごみ排出量が多い
日本の一人あたりのごみ排出量が多いことも理由の1つです。
ライフスタイルの変化により、大量の商品製造に伴う使い捨てや梱包材などの商品増加に比例して、多くのごみが発生することがリサイクル率を下げる要因です。