お知らせ・コラム
原発再稼働へ。再生可能エネルギーは主流になれない?
2022年2月に始まったロシア軍のウクライナ侵攻で、石油や天然ガスをロシアから輸入していた国々では燃料価格が急騰しました。日本でも、電気代が上がったり電力需給がひっ迫したりと、さまざまな影響を受けています。そういったなかで、政府は停止中だった原発の再稼働を決めました。日本では、風力や太陽光、地熱など、さまざまな再生可能エネルギーが活用されていますが、なぜ原発再稼働が必要なのかを解説します。
原発の再稼働がすすめられることに
2022年2月に始まったロシア軍のウクライナ侵攻。もともとロシアは石油・石炭・天然ガスといった化石燃料の産出国です。とくに天然ガスは、石炭や石油に比べて燃焼させたときの二酸化炭素排出量が少なく、環境に優しいエネルギー原料とされています。
アメリカやヨーロッパ諸国、日本など西側諸国は、侵攻に反対しロシアに経済制裁しました。その代わり、ロシアから燃料の輸入をできず、各国はエネルギー確保を迫られています。
そこで、日本政府が考えたのが原発の再稼働です。
再稼働する原子力発電所
日本では、2011年の東日本大震災による福島第一原発事故の影響で、長い間全国にある原子力発電所が停止していました。2015年に新たな規制基準に合格した鹿児島の川内原発が稼動を再開し、2022年8月までに10基の原発が稼動しています。
2023年の夏以降に再稼働を目指すのは、次の7基です。
・関西電力高浜原発の1号機・2号機(福井県)
・東北電力女川原発2号機(宮城県)
・中国電力島根原発2号機(島根県)
・東京電力柏崎刈羽原発の6号機・7号機(新潟県)
・日本原子力発電の東海第二原発(茨城県)
再生可能エネルギーは原発の代わりになれないの?
東日本大震災以降、原子力発電所の危険性が指摘され、再生可能エネルギーが普及してきました。太陽光・風力・地熱などを利用した発電は、この10年ほどでかなり増加したと実感される方も多いはずです。
しかし、現状では再生可能エネルギーは原子力発電の代わりにはなれません。次の3つが主な理由として挙げられます。
・再生可能エネルギーは、初期投資にコストがかかる
・再生可能エネルギーは、天候や季節などに発電量が左右されやすい
・蓄電技術が発達していない
再生可能エネルギーはまだ発展途上の技術なので、イニシャルコストが高い傾向にあります。しかも、発電量にムラがあるのです。たくさん発電したときに蓄電して、不足しているときに補えればよいのですが、そういった技術が発達していません。
そうすると、低コストでたくさんのエネルギーを生み出せる原子力発電は、再生可能エネルギーよりも便利な発電方法といえます。しかし、原発も事故や「核のごみ」問題など、さまざまな危険や議論すべき問題を抱えています。
再生可能エネルギーが主流になるためには、安定した発電や蓄電の技術開発が必要です。
「オーストラリア最大の火力発電所前倒しで廃止」では、火力発電は、温室効果ガスの排出量が大きく、環境への負荷が高いことについて詳しく紹介しております。