お知らせ・コラム
回収から再資源化までの流れ ― アイレックスの一貫処理体制 IREXコラム vol.4
アルミ箔・紙付きPS/PP複合材シート端材は、「強く貼り合わされた複合材のため再資源化は困難」という認識が長く続いてきました。しかしアイレックスでは、独自の LayerX™分離技術 と自社工場の一貫処理ラインにより、複合材端材を「再び資源として循環させる仕組み」を実現しています。
本コラムでは、回収された端材がどのように再生されるのか、
実際のプロセスに沿って詳しく紹介します。

■ ① 端材の回収・搬入
食品容器、カップ蓋、インモールドラベル付き資材、複合シート成形ラインなど、
全国のメーカーから排出されるアルミ箔付きPS/PP複合材端材を、
定期回収または持ち込みで受け入れています。
茨城マテリアルセンターを拠点に、
全国対応の回収ネットワークを整備し、少量~大量ロットまで柔軟に対応。
「全国から安定的に複合材端材を確保する」ことが、再資源化事業の基盤です。
■ ② 分別・前処理
搬入された端材は、素材別、色別、厚み別などアイレックス独自の方法で分類され、
複合材の層構造を壊しやすい大きさに粉砕します。
この前処理は、後工程のLayerX™分離効率を左右する極めて重要なステップです。
複合材は1枚の膜のように見えても、アルミ・紙・樹脂が複層で密着しているため、
最適な破砕サイズや投入密度を調整する必要があります。

■ ③ LayerX™分離工程(日本初の複合材分離技術)
ここで、アイレックス独自の LayerX™ が稼働します。
LayerX™は、破砕後の複合材を多段階の物理分離工程へ通し、
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比重差
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熱伝導率
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表面特性
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剥離挙動
といった“層ごとの物性差”を利用して分離を進めます。
薬品は使わず、環境負荷を抑えた物理分離方式でありながら、
アルミ・紙・PS/PP樹脂を高純度で分離できる、日本初の実用化技術です。
分離後の素材は、それぞれ独立した再資源化工程へと送られます。
■ ④ 再生樹脂の洗浄・乾燥・ペレット化
回収されたPS/PP樹脂は、専用ラインで洗浄・乾燥し、
異物率・水分率を細かく管理して押出機へ投入します。
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溶融
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フィルター濾過
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ペレット化
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冷却・乾燥
という工程を経て、高品質の再生PS/PPペレットが完成。
透明PS、HIPS、PPグレードなど、
用途に応じた粒度・混練条件の調整も可能で、
食品容器、文具、家電パーツなどへの再利用が広がっています。

■ ⑤ アルミ・紙の再利用 ― 次なる挑戦
LayerX™によって分離されたアルミと紙は、理論上は
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アルミ → 金属として再溶解
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紙 → 再生パルプ化
が可能で、複合材全体を“ほぼ100%循環”させるポテンシャルを持っています。
しかし現段階では、
これら分離副産物の再生ルートを 安定的に運用できるスキームは構築途中 にあります。
アイレックスは現在、
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金属メーカーとの再溶解工程の共同開発
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紙パルプメーカーとの品質規格づくり
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分離副産物の安定供給ネットワーク構築
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地域単位のサーキュラーシステム構想の具現化
などを進めており、
「複合材100%循環」の社会実装 を、次なる技術的・事業的チャレンジとして掲げています。
アルミ箔付きPS/PP複合材は、本来すべての要素が資源として戻せる素材です。
その潜在力を現実の循環モデルとして形にすることが、これからのアイレックスの使命です。
■ 未来を見据えた“循環の仕組みづくり”
アイレックスの再資源化は、単に素材を分ける技術ではなく、
メーカー・商社・物流・自治体を巻き込んだ 循環型サプライチェーン構築 そのものです。
複合材端材を“捨てる側”から“循環させる側”へ。
その転換を日本で最も早く形にしていくため、
アイレックスは挑戦を止めることなく前へ進み続けます。
次回予告
次回は「複合材端材の現場課題と、その解決策」をテーマに、
実際の工場から寄せられる相談事例をもとに解説します。