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ペットボトルのリサイクル!回収後は何に生まれ変わっている?
ペットボトルは一般の家庭ごみとは分離してリサイクルを行うことが奨励されています。リサイクルされた後、どのような製品として生まれ変わるのでしょうか。
ペットボトルのリサイクル製品は、食品トレイや卵パック、ワークウェア、肌着、包装フィルム、セロテープなどさまざまです。今回は日本におけるペットボトルのリサイクル率やリサイクル製品、現状の課題について解説します。
調査結果をもとに、ペットボトルリサイクルの現状や問題点を把握できるでしょう。
ペットボトルリサイクルの意味と目的
ペットボトルリサイクルは、使用済みのペットボトルを回収し、再利用または再生産する工程をいいます。ペットボトルリサイクルの主な目的は、ごみの削減と資源の効率的な利用です。
ペットボトルリサイクルは持続可能な社会への一歩であり、資源の有効活用と環境配慮を促進します。
ペットボトルの日本でのリサイクル率
日本のペットボトル回収率は88.5%(2020年)と、世界トップクラスの数字を誇っています。ヨーロッパは39.6%(2019年)、アメリカは18.8%(2020年)なので、日本が他国と比較していかに高い数字なのか分かります。
日本のペットボトルリサイクル率が高いのは、市町村の分別収集および消費者の分別排出を定めた容器包装リサイクル法があるためです。リサイクルの起点となる消費者の協力を受けられるため、高い回収率を維持できています。
ペットボトルリサイクルの問題点
世界トップクラスを誇る日本のペットボトル回収率ですが、課題も存在します。何度もリサイクルが可能なボトルtoボトルの割合が小さく、リサイクル頻度が少ないカスケードリサイクルに流れてしまっていることです。
高度な循環リサイクルを生むために、一般社団法人全国清涼飲料連合会はボトルtoボトルの比率を50%に達するよう目標を掲げています。年々数値に上昇は見られるものの2019年時点で12.5%にとどまり、目標値とは大きな隔たりがあるのが現状です。
ペットボトルリサイクルのメリット・デメリット
ペットボトルリサイクルのメリットとデメリットを簡単に説明します。
【ペットボトルリサイクルのメリット】
・資源の節約
ペットボトルリサイクルにより新しい原料を採掘・生産する必要がなく、リサイクル素材を再利用するため、天然資源の節約に貢献します。
・廃棄物削減
リサイクルはペットボトルの廃棄物を減少させ、埋立地の負担を軽減します。
・エネルギー削減
リサイクルプロセスは新しい製品を製造するよりもエネルギー効率が高く、温室効果ガス排出の削減につながります。
【ペットボトルリサイクルのデメリット】
・品質低下
ペットボトルを何度もリサイクルすると、品質が低下し、新しい製品に再利用できないことがあります。
・リサイクルコストと労力
リサイクルプロセスはコストと労力を必要とし、効果的なリサイクルインフラが整備されていない場合、高い運搬コストがかかることがあります。
・汚染リスク
ペットボトルの適切な処理が行われない場合、環境への汚染リスクが高まります。
ペットボトルリサイクルは資源の節約と環境保護に寄与する一方で、適切な管理をすることに留意する必要があります。
ペットボトルのリサイクルプロセス
アイレックスは独自の設備によって回収したペットボトルを素材別に分離し、リサイクルに適したペレットに加工しています。
ペットボトルをリサイクルするには、ボトル本体・キャップ・ラベルと素材別に分離する必要があります。しかしこの分離と素材ごとの処理が最も手間のかかるプロセスなのです。以下に、リサイクルプロセスを紹介します。
1. お客様からのペットボトル混合品を設備に投入します
2. ペットボトル混合品を細かく粉砕し、素材別で比重分離を行い、脱水・乾燥します
3. PETとキャップから、ラベルを分離します
4. PET、キャップ、ラベルそれぞれの素材がペレットに加工されます
5. 3種類のリサイクルペレットに生まれ変わり、プラスチック製品の原料として再利用されます
アイレックスでは、独自の設備によって、通常は廃棄される混在した状態(ゴミ状態)のものを有価で引き取り、素材別に分離し、リサイクルしやすいペレットに加工しています。
ペットボトルのリサイクル製品とは
ペットボトルはリサイクルされると、農業用ネットやプラスチック製のボート、建築材などの原料に生まれ変わります。ワークウェアやネクタイ、白衣、肌着、バッグといった繊維製品になるケースも少なくありません。
食品用パウチや粘着ラベルなどの包装フィルム、定規やセロテープといった成形品もペットボトルのリサイクル製品です。
リサイクルの手法は、フレーク状に原料化してから再度ペットボトルとして再利用する「ボトルtoボトル」と、ペットボトル以外の製品に生まれ変わる「カスケードリサイクル」に分かれます。
ペットボトルのリサイクル製品例を紹介!
ペットボトルリサイクル製品を扱っている企業は、環境への貢献やサステナビリティに焦点を当てています。以下はその一部の例です。
1. ペットボトルリサイクル製品例 「&+(アンドプラス)」
「&+®」は、東レが展開する繊維リサイクル事業のブランドです。日本国内で回収されたペットボトルを原料とし、高品質・高機能を両立したリサイクル繊維を製造しています。
また、サステナブルな社会を実現するため、リサイクル繊維市場のグローバルな拡大を目指しています。
2. ペットボトルリサイクル製品例 「Patagonia(パタゴニア)」
https://www.patagonia.jp/environmental-responsibility-materials/
パタゴニアでは、使用済みのペットボトルや使用不可能な製造廃棄物から再生されたリサイクルポリエステル繊維を使用しています。ペットボトルは機械的に細断し、繊維に加工するメカニカル・リサイクルを行っています。
今後の取り組みとして、2025年までにパタゴニアのパッケージすべてを、再利用可能なもの、家庭内コンポストで分解できるもの、再生可能なもの、容易にリサイクルできるものとすることをマイルストーンに掲げています。
3. ペットボトルリサイクル製品例「コカ・コーラ」
https://www.cocacola.jp/sustainability/
コカ・コーラは、最新のイノベーションを模索し、100%リサイクル素材の使用と「ボトルtoボトル」の取り組みを推進し、廃棄物ゼロ社会への道を切り開いています。
ボトルtoボトルとは、使用済みのPETボトルを回収・リサイクル処理したうえで、PETボトルとして再生し、飲料の容器として再利用することです。
コカ・コーラは、2030年までに、日本国内で販売した自社製品と同等量のPETボトルを回収することを目指しています。
4. ペットボトルリサイクル製品例「PLAGLA」
「PLAGLA」は、福井県鯖江市で、ブルーライトカットのメガネやサングラスを製造するアイウェアブランドです。日本国内のリサイクル技術を活かし、使用済みのペットボトルをフレームの原料に使用しています。
PLAGLAのフレームは廃棄されたペットボトル約2本から作られており、一瞬で捨てられてしまうペットボトルを長く使えるアイウェアに進化させた画期的な商品になっています。
5. ペットボトルリサイクル製品例「Öffen(オッフェン)」
新進気鋭のデザイナーが手がける日本のブランド「Öffen」は、ペットボトルのリサイクルから得た糸を原料としたシューズを開発するメーカーです。環境に配慮しながら、スタイリッシュでデザイン性も優れたパンプスやブーツを生み出しています。
アイレックスでは、回収したペットボトルをリサイクルに適した素材に加工をする取り組みを行なっています。リサイクルビジネスやペットボトルの再利用に興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。