お知らせ・コラム
複合フィルムの買取とは
食品の包装などでよく用いられる複合フィルム。機能的な素材としてさまざまな場面で使用されていますが、使用後には買取という方法があります。こちらでは、複合フィルムの買取について解説します。
複合フィルムとは
複合フィルムとは、2種類以上の異なる素材を組み合わせて作られるフィルムのことです。
複合フィルムは、異なる素材を組み合わせることで、強度や防護性能などそれぞれの素材の特性を生かした機能を持つため、異なる要件やニーズに合わせて設計され、さまざまな用途に使用されます。
複合フィルムの特性
複合フィルムは、構成する各素材の化学的および物理的特性によって、耐久性や防湿性、耐薬品性といった、さまざまな特性を持ち合わせています。たとえば、ポリエチレンとポリアミドの組み合わせは、強度と柔軟性を兼ね備え、食品の保存に適したフィルムになります。
複合フィルムの大きな特性として、以下の点が挙げられます。
高い耐久性
異なる素材を組み合わせているため、用途に適した優れた耐久性を持たせることができます。たとえば、ポリエチレンとポリアミドの組み合わせは、引張強度が高く、摩耗や破裂のリスクが低いという特性を持つため、食品の輸送や保管中の品質を保つことができます。
優れた防湿性・防護性能
複合フィルムは水分や酸素、紫外線などから中身を保護するために使用されることが多いです。各層がそれぞれ異なる役割を持ち、最適な組み合わせで設計されているため、湿気や光からの保護性能が向上し、製品の品質を長期間維持できます。
柔軟性と軽量性
硬さが必要な層と、柔軟さを提供する層を組み合わせることで、強度を保ちながら柔軟性と軽さを兼ね備えた複合フィルムを製造できます。軽量でありながらしっかりとした保護が必要な用途に最適です。
これらの特性により、複合フィルムは食品や医薬品の包装をはじめ、さまざまな産業で活用されています。
複合フィルムの利用例
複合フィルムは、構成する各素材の化学的および物理的特性によって、耐久性や防湿性、耐薬品性といった、さまざまな特性を持ち合わせています。たとえば、ポリエチレンとポリアミドの組み合わせは、強度と柔軟性を兼ね備え、食品の保存に適したフィルムになります。
複合フィルムの利用例
複合フィルムは、その多様な特性からさまざまな用途に用いられています。ここでは、代表的な利用例をいくつかご紹介します。
食品包装
複合フィルムは酸素や水蒸気の侵入を防ぐため、品質劣化を抑えたい食品包装で多用されています。たとえば、食品パッケージや真空パックに使われるフィルムは、複数の層がラミネートされており、各層が酸素バリアや防湿性などの役割を持っています。
医療用包装
医薬品や医療器具を清潔に保つためには、高いバリア性能が求められます。そのため、滅菌パッケージに利用される複合フィルムは、外部の細菌や湿気からの侵入を防ぐ機能が必須です。
産業用途
エレクトロニクス分野では、フレキシブルディスプレイやバッテリーの保護材として用いられており、建設業界では防水シートや断熱材として利用されています。複合フィルムの高い耐久性と柔軟性が、このようなさまざまな用途を可能にしています。
自動車分野
軽量で強度の高い素材を組み合わせることで、車体の軽量化に貢献し、燃費の向上を図ることができます。特に、内装や外装部品の保護フィルム、シール材として複合フィルムが活用されています。
複合フィルムの製造方法
異なる素材を組み合わせる複合フィルムの製造には、いくつかの方法があります。代表的な製造方法について以下に解説します。
押出ラミネート法
- 溶融したプラスチックを基材に押し出し、層を形成する方法。
- 異なる素材を貼り合わせ、強度やバリア性能を向上させる。
ドライラミネート法
- 粘着剤を用いて異なるフィルムを貼り合わせる手法。
- 非常に高いバリア性能を持たせることが可能。
押出コーティング法
- 基材フィルムの上に別のプラスチック素材をコーティングする方法。
- フィルムにさらなる強度やバリア性能を付加することができる。
- 押出コーティングを複数回行うことで、さまざまな層を持つ複合フィルムを製造可能。
共押出法
- 複数の異なる材料を同時に押し出して多層フィルムを作る方法。
- 製造工程が簡略化され、効率的に高性能なフィルムを生産できる。
これらの製造方法を用いることで、複合フィルムはその特性に応じた最適な構造を持つことができます。
複合フィルムの需要と市場規模
複合フィルムの需要は、さまざまな分野で急速に増加しており、市場規模も拡大しています。
複合フィルム市場は、エレクトロニクス、包装、航空宇宙、自動車といった多様な分野での需要拡大により成長しています。
特に、フレキシブルエレクトロニクスやディスプレイ技術、軽量で強度のある自動車部品において複合フィルムの需要は高まるばかりです。
また、航空宇宙分野では、軽量で耐久性の高い複合フィルムが求められており、市場拡大の一因となっています。
2023年には世界の複合フィルム市場は数十億ドル規模に達しており、今後も年平均成長率(CAGR)で成長することが予測されています。
特にアジア太平洋地域では、急速な工業化と経済発展により複合フィルムの需要が増加しており、今後数年間で大幅な成長が見込まれているのです。
また、北米やヨーロッパの先進国では、技術革新と環境規制に対応した新しい複合フィルムの開発が進んでいます。
一方で、複合フィルムの生産コストの高さや、製造プロセスの複雑さといった解決すべき課題も存在します。小規模メーカーにとっては生産コストが高く、参入のハードルとなっています。
しかしながら、サステナビリティの観点から、生分解性フィルムやリサイクル可能なフィルムの開発が進んでおり、新たな市場機会を生み出していくでしょう。
複合フィルム市場は、さまざまな分野での需要の増加と技術革新によって今後も拡大が続くと考えられます。環境に配慮した製品の需要が高まる中で、複合フィルムのリサイクルや生分解性フィルムの開発が進めば、市場のさらなる成長が期待できるのです。
複合フィルムとその他のフィルムの違い
複合フィルムは構造と機能性において、他の単一材料のフィルムと明確に区別されています。
素材の組み合わせ
複合フィルムは、2つ以上の異なる材料を組み合わせて製造されることが特徴です。これに対して、通常のプラスチックフィルムは単一の素材、例えばポリエチレンやポリプロピレンのみで作られています。
複合フィルムでは、各層が特定の機能を果たしており、それぞれの素材の利点を組み合わせることで、フィルム全体としての性能が向上します。
防護性能
複合フィルムの特徴の一つは、優れた防護性能にあります。これは、複数の素材層がそれぞれ異なるタイプの気体や水蒸気、光などを遮断する能力を持つためです。
たとえば、ある層は酸素を阻害し、別の層は湿気の侵入を防ぐことが可能です。これに対し、単一材料のフィルムでは、このような複合的な防護性能を持つことは難しいです。
耐久性と柔軟性のバランス
複合フィルムは、硬い素材と柔らかい素材を適切に組み合わせることで、耐久性と柔軟性を兼ね備えることができます。一方、単一のプラスチックフィルムでは、耐久性または柔軟性のどちらか一方に特化することが一般的であり、両方の特性を兼ね備えることは少ないです。
カスタマイズ性
複合フィルムは、異なる素材の組み合わせにより、必要な機能を精密に設計することができます。これにより、食品の鮮度保持から医療用途まで、幅広いニーズに応じた製品を開発することが可能です。一方で、標準的なフィルムはそのようなカスタマイズ性を提供することが困難です。
環境への影響
単一材料のフィルムは比較的容易にリサイクルが可能であり、環境保護の観点からも利点があります。一方、複合フィルムは、その多層構造のため、単一材料のフィルムに比べてリサイクルの工程が複雑で困難です。
ただ、近年ではリサイクル技術の向上により複合フィルムのリサイクルや再利用が増えており、複合フィルムの環境への影響を最小限に抑える方法が模索されています。
プラスチック素材のリサイクルと環境対策
複合フィルムをはじめとするプラスチック素材の使用が増加する中で、リサイクルと環境対策の重要性も高まっています。
プラスチックリサイクルの現状
現在、世界的にプラスチック廃棄物の問題が深刻化しています。特に使い捨てプラスチックの大量生産と消費が環境汚染を加速させており、海洋汚染の主要因の一つとされています。この問題に対処するため、欧米や日本など多くの先進国でプラスチックのリサイクルが奨励されています。
複合フィルムのリサイクルプロセス
複合フィルムのリサイクルは、通常のプラスチックと異なります。まず、複合フィルムを構成する各素材を分離する必要がありますが、これは技術的にも経済的にも高いハードルが存在します。しかし、技術の進歩により、より効率的かつ経済的に複合フィルムをリサイクルする方法が開発されつつあります。
- 物理的分離:複合フィルムを加熱し、異なる融点を持つ材料を分離する。
- 化学的処理:特定の溶剤を使用して、異なるポリマーを解離させる。
- 機械的処理:粉砕や圧縮などの機械的手法を用いて、物理的に材料を分離する。
環境対策としてのプラスチックリサイクルの重要性
プラスチックリサイクルは単に廃棄物を減らすだけでなく、新たなプラスチック製品を生産する際の原材料の使用を減少させることで、化石燃料の消費や温室効果ガスの排出を削減します。また、リサイクルによりエネルギーの消費も削減されるため、環境への影響を全体的に低減させることが可能です。
今後の展望
今後、複合フィルムを含むプラスチック製品のリサイクル技術のさらなる革新が期待されます。また、消費者意識の向上とともに、リサイクルしやすい素材の選択や使い捨てプラスチックの使用抑制など、持続可能な消費行動が促されることでしょう。
複合フィルムの買取方法

複合フィルムの買取方法は、以下を参考にしてください。
1. リサイクル業者の選定
アイレックスでは、複合フィルムを買取しています。特殊な設備と技術により、複合フィルムをリサイクルすることができます。
2. フィルムの仕分け
複合フィルムの買取前に、異なるタイプの複合フィルムを仕分けてください。複合フィルムの種類によって、受け入れ条件がある場合があります。
3. フィルムの汚れをとりのぞく
複合フィルムには不純物や汚れが付着している場合があるため、できる限りきれいにしておきます。
4. 形状を確認する
複合フィルムは通常大型でかさばるため、運搬と保管の効率を向上させるため、形状を確認することが重要です。アイレックスでは、プレス品、ロール品、バラでの対応が可能です。
5. 買取品の確認と納品
買取品の状況を確認して、お見積りをします。買取契約後、複合フィルムを業者に納品します。アイレックスでは引き取り・お持ち込みどちらも対応しています。
複合フィルムの買取は、環境への配慮や資源の再利用を促進することに貢献します。アイレックスでは、複合フィルムの買取を強化しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
複合フィルムは買取後何になる?
複合フィルムの買取後、その材料は再リサイクルまたは再利用されることが一般的です。以下に、複合フィルムの買取後のいくつかの可能性を紹介します。
【再リサイクル】
複合フィルムは、異なるフィルム材料を分解および再処理され、再リサイクルされることがあります。これにより、新しいフィルムまたは製品に使用できる再生素材料が生成されます。再リサイクルは資源の効率的な活用を促進し、廃棄物の削減に貢献します。
【新製品の製造】
複合フィルムから抽出された再生素材料は、新しい製品の製造に使用されることがあります。例えば、再生素材料は建材、パイプ、容器、フィルム、テクスチャイルなどの製品に再利用されることがあります。
【アップサイクリング】
複合フィルムの一部はアップサイクルプロセスに供され、元の用途以上の高品質な製品に変換されることがあります。複合フィルムの買取後は、リサイクル業者や処理施設のポリシー、地域の法規制、および市場需要に影響を受けます。持続可能なリサイクルおよび再生産を促すために、リサイクルプロセスや再利用が進化し、新しい用途が見つかることがあります。
企業経営と複合フィルムリサイクルの関係性
環境規制とコストメリット
環境への負荷を減らすために世界各国で導入されている厳格な規制は、企業に対して廃棄物の削減と持続可能な製品設計を求めています。
欧州連合(EU)は、プラスチック廃棄物の削減を目的とした「サーキュラーエコノミー・アクションプラン」を発表しました。すべてのプラスチック素材について、リサイクル材の使用義務や廃棄削減に向けた措置を掲げることを目指しています。
さらに、日本においても「プラスチック資源循環促進法」が2022年に施行され、企業にはプラスチック製品の設計から廃棄までのサプライチェーン全体で環境への配慮が求められています。そのため、企業はリサイクル業者との連携を強化し、適切な処理方法を確立することが重要になります。
次に、リサイクルによるコストメリットについて考えてみましょう。複合フィルムをリサイクルすることで、企業は以下のようなコストの削減効果を得られます。
- 廃棄コスト
- 原材料のコスト
- 環境負荷軽減によるブランド価値向上
企業が環境規制に対応し、コストメリットを享受するためには、複合フィルムのリサイクルは不可欠です。リサイクルの推進は、単なる法的義務の履行にとどまらず、コスト削減やブランド価値の向上など企業にとって多大なメリットをもたらすといえるでしょう。
持続可能な企業経営のために
企業が持続可能な経営を実現するためには、環境への配慮が不可欠です。複合フィルムのリサイクルは、その一環として重要な役割を果たします。
持続可能な経営のために企業が考慮すべき重要なポイントは、以下の通りです。
サプライチェーン全体の最適化
複合フィルムのリサイクルを通じて、サプライチェーン全体での廃棄物の削減を図ることができます。製造過程で出る廃棄物を減らし、リサイクルして再利用すれば、資源の循環利用を促進できます。
リサイクルを前提とした製品設計(デザインフォーリサイクル)
持続可能な経営を実現するためには、製品の設計段階からリサイクルを考慮することが重要です。複合フィルムを使用する際にも、リサイクルしやすい構造にする、分解可能な素材を使用するなど、設計の工夫が求められます。
循環型経済へのシフト
持続可能な経営を実現するためには、企業はリニア型経済(生産→使用→廃棄)から循環型経済(生産→使用→再利用)へとシフトする必要があります。リサイクルを通じて廃棄物を減らし、再生材の使用を促進することで、環境負荷の低減とコスト削減の両立を目指すことが可能です。
CSR(企業の社会的責任)活動の一環としてのリサイクル
環境保護への取り組みを通じて、企業は社会からの信頼を得ることができ、長期的な経営の安定につながります。特に、環境問題への取り組みが社会的に重視される現在において、積極的にリサイクルを行うことは、企業の持続可能性と社会貢献活動への認知度を高める上で非常に重要です。
複合フィルムのリサイクルは、企業が持続可能な経営を実現するための有効な手段です。環境への負荷を減らすだけでなく、上記のような取り組みにより、企業は社会的責任を果たしながら持続的な成長を実現できるでしょう。
まとめ
複合フィルムはエレクトロニクス、自動車、食品包装など多くの分野で需要が増加しており、市場規模の拡大が見込まれている製品です。
ただし、ただ製造するだけではなく、買取とリサイクルによって環境負荷を減らし、持続可能な社会を実現するための取り組みも同時に行うことが重要です。リサイクルにより得られた再生材料は、新たな製品の製造に利用されます。リサイクル業者の選定、フィルムの仕分けと清掃、適切なリサイクルが今後ますます注目されるでしょう。
今後、技術革新により複合フィルムのリサイクルがさらに効率的になると期待されています。ナノコンポジット技術や生分解性素材の導入により、環境への影響を減らしつつ複合フィルムの特性を最大限に活かすことが可能です。また、循環型経済の概念が普及する中で、企業がリサイクルに取り組むことは、環境保護や社会的責任の観点から重要な要素になっていくことは間違いありません。
複合フィルムの処分でお困りの際には、ぜひアイレックスでの買取をご検討ください。廃プラスチック専門のアイレックスなら、廃プラの買取から、加工(粉砕加工・ペレット加工など)、リサイクルまで、一貫してお引き受けすることが可能です。